ヘンリーヘンリーズのギター担当。


by hayashihiromu

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「善蔵を思う」から考える 

昔のパソコンの中のデータを整理していたら、高校の授業で書いていた文章が色々出て来て、懐かしいと同時に、稚拙ながらも一生懸命色々考えて書いている当時の自分を想像すると、なんだか微笑ましく思ってしまった。
これは、高校二年生時取っていた、日本文学研究という授業の課題。太宰の「善蔵を思う」を読んでの感想文らしい。途中、「何言ってんだこいつ?」って思う所もあるし、文章が粗いけれども、ああ、こんなこと考えていたなぁ、となかなか懐かしいし、おもしろいことを書いていると思う。裏付けが全く無いただの妄想だけれど、それはアホな高二ということで、お見逃しを。でも、真剣に日本の芸術と憐れの系譜を研究してみようかな。まぁ、修正せずに載っけてみようと思います。


以下。





「善蔵を思う」の善蔵とは、太宰治と同郷の、津軽出身である葛西善蔵という私小説家だそうだ。僕は葛西善蔵の小説を読んだことも無ければ、人物像を知っているわけでもない。だが、同郷人であり、私小説家だ、ということが分かれば、「善蔵を思う」の概要はなんとなくつかめる。しかし、今、それをここに書いてもなんだかつまらない。ただの感想も気が引ける。したがって、小林秀雄の考えるヒントのように、思いのまま、少し、文字を綴っていきたいと思う。
 「善蔵を思う」の感想を一言で言ってしまえば、「憐れ」である。主要な登場人物、皆、憐れみが滲み出ている。僕の思う太宰治の小説の特徴と魅力の中の一つは、自分の憐れみを完全に客観的に見られる、ということだ。「憐れ」という感情は怒りや喜びなどと違って、自分のそれを正確に認識しようとすると、苦悩というものと混雑してしまい、とても分かりにくくなるものである。それを分かりやすく提供してくれるのが太宰文学だ。破滅的ながら、普遍的なものがしっかりと芯にあるので、良いのだ。そこから一次元高次のものとして、斜陽などでは、憐れみの極地に存在する強烈な美が書かれている。三島由紀夫との軋轢の原因の断片は、案外ここにもあるのかもしれない。
 「憐れ」はおもしろい。僕は、草枕を読んでからというもの、「憐れ」に対して、一人勝手に色々と考えを巡らしたりしているのだが、いやはや、この言葉はとても恐ろしいものである。なぜなら、粗方の芸術的作品をこの一言で表すことができるからだ。いや、別の視点から見ると、日本人は芸術的作品に触れたときに、「憐れ」という感情を高頻度で見いだす、とも言える。これは日本人特有の感情の発達である。その証拠に、日本語の「憐れ」「哀しさ」に関する言葉はたくさんあるのだ。言葉と文化、風俗は密接に関係していることは言語論の常識である。その観点から見ると、日本人は「憐れ」を異様に感じてしまうため、その感情を細分化する必要があったということになる。例えば、「憐れ」の漢字違いだけで、憫れ、哀れ、と二つある。さらに、憐憫、愍然、憐情、憫笑、同情、哀憐、愛憐、などなど、まだまだたくさん挙げることができる。
 その他、日本のお笑いに於いてでも、憐れみや哀しさはとても重要なものとなっている。例えば伝統的な日本のお笑いの落語。さらに、ダウンタウンさん以降のコントや、所謂、すべらない話と呼ばれるものにも、哀しさや憐れみが多分に含まれていることは無意識にでも感じられる。
 この日本人と憐れの繋がりは、例えば「おいもさん」という言葉を用いる感情や、神道的な道徳に見いだすことが可能であると思う。
 長々と「憐れ」に関することを綴ってみたが、まぁ、まだ綴り足りない嫌いもあるが、「善蔵を思う」に話しを戻すと、この小説は様々な「憐れ」の存在が最初からずっと、薔薇が良いものであったと分かった時でさえも、一貫しているせいで、最後の清らかな情緒が、際立つ。まさに牢屋の窓から見た青空。
 この小説はもちろんのこと、至る所にただ存在しているものでさえも、それぞれの憐れみを感じられることができる。これぞ、現代で意図的に廃絶されしもののような気がしてならない。日本に於けるコミュニティーとアソシエーションの違いとはこういったことなのではないか。鍵を握るのは憐れみである。その種類を手に入れるために、またこの小説を読み返すのもいいかもしれない。
 






以上。







おわり
by hayashihiromu | 2013-06-24 23:07 | 普通

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